今回は、ピアノにも打楽器のように打面があり、ピアノを弾くということは、その打面を狙って打つ
ことだということをお伝えします。
♫ 音が鳴る位置
ピアノは、アクションモデルを観察しても分かるように、ハンマーが弦を打つのは、一回の打鍵で一度きり、しかもそれはほんの一瞬の出来事でしたね!
ピアノの音が鳴る位置は、鍵盤を下げていく過程において、その「たった一か所」でしかないのです。
その位置は、ピアノによって多少の誤差はあるものの、どのピアノも(白鍵の一番手前において※)ほぼ鍵盤の上から7ミリのところです。
鍵盤を下ろしていく途中の、上から7ミリの位置でのみ、ハンマーが弦に当たり音が鳴ります。
その位置以上でも以下でもありません。
鍵盤の底などでも音が鳴っていると勘違いしていることが多々ありますが、この上から7ミリのところこそが、鍵盤上で音の出る唯一の場所なのです。
こちらの記事で動画付きで説明しています。
※鍵盤は下げるとシーソーのように傾くので、鍵盤の奥に行くほど音が鳴る位置は浅くなります。
♫ ピアノの打面
打楽器の音を鳴らす(打つ)ところを「打面」といいます。
♫ ピアノを弾く=打面を打つこと
ピアノの鍵盤の上から7ミリのところが打面なら、指は打楽器でいうとバチ(マレット※)にあたるわけです。
参考動画はこちら
ピアノを弾くというのは、音が鳴る唯一の場所である「打面」を、指先で狙って打つことなのです。
この打面さえ狙っていれば、極端なことを言えば、指の側面でも、握りこぶしでも、肘でも足でも音は出せるわけです。
世界的ピアニストであったルービンシュタインが、弟子に「鼻の先でもピアノは弾ける」と言ったという話を聞いたことがありますが、あながち冗談でもなく、本来の音の出し方を知っていれば、どんな手段でも美しい音を出すことが出来るということなのかもしれません。
♫ 全ての表現は打面を狙うことでしか得られない
鍵盤底など、打面より下を狙って打鍵しても、打面を通過する瞬間にハンマーが弦に到達しているので音は鳴ります。
しかし、ハンマーが弦を打つ瞬間である「打面」を狙って打つことでしか、真に音をコントロールすることは出来ません。
その打面で一度発音された音は、自分の意思で変化させることはできず、発音された瞬間に音のほぼ全てが決定してしまうのですから、P(ピアノ)であれf(フォルテ)であれ、柔らかい音であれ、鋭い音であれ、レガートであれ、スタッカートであれ、打面をどう打つかということが、音楽的な表現そのものに直結します。
ハンマーが弦を打つ瞬間=打面=打面と指先が接触する瞬間です。
どんな音を出す時も、ハンマーが弦を打つ瞬間を狙う=打面と指先が接触する瞬間を感じる、ということでしか、イメージ通りの音の表現はできないのです。